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お客様のことを一番に考えたから支持される美容師になれた表参道の美容院『CIRCUS by BEAUTRIUM 青山』中野倫宏さんインタビュー

お客様のことを一番に考えたから支持される美容師になれた
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Raku Lab通信編集部

表参道の駅を出て、青山学院大学の脇にある小道に入ると、今回インタビューをさせて頂いた中野倫宏さんが働く『CIRCUS by BEAUTRIUM 青山』があります。BEAUTRIUMは美容業界でも屈指の技術力とデザイン力、ブランド力で有名なサロン。そこの姉妹ブランドCIRCUSの代表を務める中野さんに、美容師を志した理由から、お客様に対する想いなど聞いてきました。

CONTENTS目次

自然に歩んだ美容師への道

画像名(h2タイトルetc)

-中野さんが美容師を志したきっかけをお教えください。

中学生までは床屋に通っていたのですが、高校生になって美容院に行くようになり、衝撃を受けたのが最初のきっかけだったかも知れません。

実は、友人の親がサロンを経営していて、その店舗のバックヤードでよく遊ばせてもらっていたんです。なので、美容院は私にとって、比較的身近にあった遊び場のひとつでした。

-それでは自然と美容師になるという選択をされたのでしょうか?

高校生のときになると、具体的に今後の進路を決めると思いますが、私が普通に会社勤めをしている想像をすることができずに、美容師をやろうと決めたんです。

あと小学生の頃からの友人に、ファッションが大好きな人がいて、彼が文化服装学院へ進学することになりました。
彼がファッションの世界に行くなら、私は美容の世界へ進もうと思ったことが一番の理由だったかも知れません。

-東京の美容学校へ進学したのでしょうか?

いえ、地元にある仙台の美容学校へ進学しました。
当時は美容師ブームが起きていて、美容師を目指す人がとても多い時期でした。
地方の美容学校でも倍率が5倍くらいあったので、どれくらい人気だったか分かってもらえるかと思います。

-確かに当時の美容師ブームは凄かったですね。卒業後は仙台の美容院へ就職されたのでしょうか?

最初から東京に出ようと思っていました。
専門学生の頃から、東京に出て美容師をやるんだから、絶対に一番になりたいと思い、当時TOPで活躍していた美容師を意識して勉強をしていましたね。

根拠のない自信を胸に、ガムシャラに働いた

画像名(h2タイトルetc)

-東京の美容院は何サロンくらい受けたのでしょうか?

実はBEAUTRIUMしか受けてないんです。
私が新卒入社を受けたときは、合格倍率が50倍くらいで普通にやっていたら合格しないと思ったので、面接では周りの人たちと逆のことをして、とにかく目立とうと考えていました。

あとは、ヴィンテージデニムを履いていって、「このデニム100万以上するんです!」と言って、ファッションへのこだわりがあることもアピールしました。
そのときのリアクションは「見えないねぇ」とかだったんですが。(笑)

-BEAUTRIUMのどの店舗へ配属になったのですか?

広尾店へ配属されました。
広尾店の目の前には公園があって、窓から見えるロケーションが最高の店舗でした。

私は、当時人気のあったsmartというメンズファッション誌をよく読んでいたのですが、そこに広尾店の高橋のスタイルがよく掲載されていたんです。
なので、一緒に働けることがとてもうれしかったですね。

あと、当時は女性誌をまだ読んでいなかったので、実は川畑タケルのことを知りませんでした。(笑)

-中野さんはどのようなアシスタントだったのでしょうか?

派手なファッションをして、お客様を良く盛り上げてましたね。
広尾店に来られるお客様は、お金持ちで時間にゆとりのある方々が多かったので、私のような若いアシスタントが面白かったのか、たくさん可愛がって頂きました。

仕事内容はとにかくシャンプーでしたね。
それこそ最初の1年はお昼ご飯なんて食べる時間がなくて、体重も見る見るうちに減ってしまいました。

-それは過酷でしたね。また、当時は美容師さんのファッションなども注目されていたと思いますが、中野さんもスナップのお仕事などあったのでしょうか?

はい、ありましたね。
ありがたいことに月に1、2は必ずスナップの仕事を頂いていました。
当時はCHOKiCHOKiというファッション雑誌が有名でしたが、BEAUTRIUMはあまりミーハーな流れには乗らないサロンっだったので、その流れとは違う路線でのお仕事が多かったです。

-何年くらいでスタイリストになったのでしょうか?

4年目の終わり頃に、スタイリストになることができました。
当時は私が最速でスタイリストデビューしたと思います。

-それは凄いですね! デビュー間もない頃はどのようにしてお客様を獲得しましたか?

先輩たちは、固定のお客様が多くいたため、フリーのお客様を担当させて頂きました。
昔からBEAUTRIUMは、フリーで来店してくださるお客様がとても多くいらっしゃるので、スタイリストになりたての美容師が担当させて頂く機会が多くあるんです。
まだまだ技術的に未熟なところが多かったですが、スタイリストになったばかりでも自然と忙しくなっていました。

-なるほど。広尾店はどのような雰囲気のサロンなのでしょうか?

広尾店は地域に根差した、地域密着型サロンです。
お客様が広尾に住まわれている方が多いということもあり、トレンドに流されずに、その方にあったヘアスタイルを提供することに拘りを持っています。
そのため、固定客になってくれる確率がとても高いという特徴があるんです。

-中野さんは広尾店からCIRCUSへ移動されたのですか?

CIRCUSに来る前に、表参道店に移動しました。
広尾店には計5年いて、内1年がスタイリストとして働いていたことになります。

-広尾店から表参道店に移動して、大変だったことはありますか?

特筆して大変だったということはなかったですね。
強いていうと、広尾から表参道への移動だったため、指名してくださるお客様が減ってしまったことでしょうか。
ですが、今でも広尾店時代から来てくださっているお客様もいらっしゃるので、本当に有難いなと感謝しています。

-では、どのようにお客様を獲得していったのでしょうか?

表参道店でも広尾店と同様に、フリーのお客様を担当させて頂いて徐々に指名して頂けるお客様を獲得したという感じです。
お客様層は広尾店とは全然違うのですが、根拠のない自信があったのでガムシャラに働いてましたね。

-実際に成功されましたか?

いえ、そんなことはなかったです。
実際に蓋を開けてみると、出来ないことばかりでしたね。
なので、毎日その日に出来たことと、出来なかったこと、次回来店して下さったら次はこうしようなどの振り返りを必ずやっていました。

-振り返りは今もやっているのでしょうか?

今は日報という形にして継続しています。
この日報は今はCIRCUSのスタッフにもやってもらっています。
振り返りをすることで、頭の中でぼんやりと考えていたことが、しっかりと言語化できるようになるので、成功したことや失敗したことの解像度がとても高くなるんです。

CIRCUSのブランドをイチから作り上げた

-CIRCUSにはいつ移動されたのでしょうか?

CIRCUSがオープンして、2年目に私が店長として配属されるようになりました。
実はこの店舗がある場所は、20年以上BEAUTRIUMがエステサロンを出したりと、色々なチャレンジをしてきたけど、一度も成功をしたことがなかったという場所なんです。
なので、会社はCIRCUSが失敗したら、この場所から撤退することも視野に入れていました。

-それが今ではCIRCUSとして2店舗出店されているから凄いですね。CIRCUSは最初から好調だったのでしょうか?

残念ながら好調ではなかったですね。
私が入った当初は全てが中途半端な状態になっていました。
なので、私はCIRCUSのコンセプト作りやサロンの内装など全てを見つめ直すところからスタートしました。

-CIRCUSのブランドがスタッフに浸透していなかったのでしょうか?

ブランド自体が定まっていなかったんですよね。
CIRCUSは元々若い方に向けたサロンにしようというコンセプトで立ち上がりました。
なので、スタッフも全員20代で固めて、若い子のトレンドをリードする立ち位置にしたかったんです。
ですが、私が入る前までのCIRCUSは若い子が憧れるサロンではなく、若い子を意識したサロンになっていました。

-確かに、若い子が憧れるのと、若い子を意識するでは大きな差がありますね。

そうなんです。
例えば、みんな若いスタッフなんだけど、言葉遣いがとても丁寧なのって、とても魅力的なギャップだと思いませんか?
だけど、当時はそのギャップがなくて、ただ若いスタッフがいるサロンになっていました。

なので、私が入ってからは、コンセプトに合うようにインテリアや名刺、スタッフの教育まで見直すようにしたんです。

-中野さんが思う形になったのはいつ頃でしょうか?

私がCIRCUSに来てから、8ヶ月後くらいにスタッフ全員の成績が上がったので、その頃から結果が出てきたと思います。実際に今の形が出来たのは、2年くらいはかかりましたね。

当時はCIRCUSに配属されたスタッフから「なんで私がCIRCUSに配属されたんですか?」って良く聞かれることがありました。このようにBEAUTRIUMのブランドで入社したはずなのに、姉妹ブランドに配属になったのに不満を感じるスタッフもいたのです。
しかし数字が上がるごとに、その声も少なくなって来ました。

ですが、CIRCUSの成長は、私一人の力では決してありません。
全員が頑張ったことで、CIRCUSというブランドを作ることができましたし、成長することができたと考えています。

-どのようにしてCIRCUSのブランドを作っていったのでしょうか?

BEAUTRIUMって、やはり川畑タケルが作るような、ナチュラルなロングスタイルを想像する方がとても多いんですが、CIRCUSはショートヘアとメンズヘアに強みがあるサロンイメージを作ることにしました。

今の私は、BEAUTRIUMの戦略も考える立場になっているので、BEAUTIRUMだからこう、CIRCUSだからこうという風に垣根を作って考えるようなことはせずに、BEAUTIRUM全体が良くなるにはどうすれば良いかを考えています。

自分の成長は全てお客様のために

-中野さんが美容師として変わらないといけないこと、変わらないことをお教えください。

変化することを恐れずに、順応して行くことが大切だと思っています。
BEAUTRIUMは、つい最近次回予約の徹底をして行くことが会社として決定しました。
次回予約というと、営業要素が強くなってしまい、お客様に言うのがかっこ悪いと思う美容師もいます。

ですが、次回予約をして頂くことで、お客様が髪の毛を切る周期まで計算に入れたデザインを提供することが可能になります。
また、例えば来月結婚式に出席する予定があるお客様がいたとします。
お客様が先に教えてくれたら問題はありませんが、ほとんどの方は自分からお話をしてくださることはありません。
そういう方に、「次回はどうしますか?」とお伝えすることで、お客様自ら話しやすい常用を作ってあげることが可能になるのです。

-次回予約は営業の側面ではなく、お客様を第一に考えた最善のアプローチということですね。

そうですね。
ですが、次回予約をしてもらうためには、美容師として信頼してもらうことが必要になります。

例えばスタイリストになりたての子ですと、カットスピードがベテランに比べると劣る人がほとんどです。
その際に、お客様が「この人の前髪を切るスピード遅くない?」って、不信感を抱かせてしまうと次回予約をしてくれることはありません。
ですが、スタイリストがお客様に、なぜ丁寧にカットをしているかをしっかりと説明が出来ていたらお客様は納得してくれるのです。
そのようなことが出来ることで、次回予約をして頂けるので、人としての成長をして行くことが大切だと考えています。

-確かにその通りですね。カット技術だけではなく、言語化力ですね。これらはどのようにして伸ばしているのでしょうか?

先ほどもお伝えしましたが、毎日行っている日報がとても役に立っています。
やはり、一日の振り返りを必ず言語化することで、自分の思考をクリアにすることが出来るんです。
また、その日報を私が見ることで、アドバイスも適切に行うことができるようになりました。

-美容師さんも色々な働き方をする方が増えてきましたが、中野さんは今後どのような美容師が支持されると思いますか?

自分が積み上げてきたものにしか、価値が残ってこないと考えています。
その積み上げてきた価値を、どうやって見せるかが個人ブランディングに繋がるのではないでしょうか。
私の主戦場はライバルが多い青山なので、このエリアで生き残って行くだけのブランド力を私も身に付けていきたい思っています。

-確かに個人ブランディングに力を入れている美容師さんを良く見るようになりました。

そうですね。
私はプレイヤーとしてのピークは、必ず来ると考えています。
そのピークを超えた後に、自分がどのような立場にいたいか、また年齢を重ねたベテランのスタッフがどのように活躍をして行くのかいつも考えています。

-どのようなことを考えているのでしょうか?

例えば講師とかですね。
地方の小さな店舗などへベテラン美容師が講師として伺って、技術やブランドの作り方などをレクチャーするような事業も手掛けたいです。
他にも色々と考えているのですが、優先順位をしっかりとつけて、BEAUTRIUMのブランドを高めることを考えていきたいですね。
そのためには、私含めてスタッフ全員が、トレンドに敏感になって変化を怖がらないことが必要だと考えています。

まとめ

CIRCUS by BEAUTRIUM 青山の中野さんにお話を伺いました。
中野さんのお話を伺って印象的だったのが、行動の全てがお客様に満足をしてもらうためだったことです。しかも、それが中野さん個人単位の話ではなく、BEAUTRIUMに来る全てのお客様に向けられていることでした。
もし、今のヘアスタイルに不満などを感じている方がいらっしゃったら、中野さんに相談をしてみると、自身のライフスタイルに合わせた最適なヘアスタイルを提案してくれると思いますよ。

SALON INFOサロン情報

CIRCUS by BEAUTRIUM 青山 (サーカスバイビュートリアム アオヤマ)

住所:東京都渋谷区渋谷2-1-6 青山エイティーンビル1F

  • この記事の情報は、掲載開始日時点のものとなります。掲載されている記事内容及び店舗情報は予告なく変更されることがあります。ご了承下さい。
  • 掲載サロンは、記事掲載後、移転、閉店などされる可能性があります。掲載ネイル画像は予告なく削除される可能性があります。

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