知ることがLGBTQ+フレンドリーなサロンになる最初の一歩。EIZO GINZA宮島瑠さんインタビュー

－宮島さんがEIZOの中で取り組みを始めたきっかけを教えてください

EIZOのスタッフと話している会話の流れで、「私は女性として生まれて現在は男性として生活をしているが、このようなタイプの方もいるんですよ」と説明することがあったんです。
思っているよりも身近にLGBTQ+の方はいるということを知ってもらいたいと思ったことがきっかけでした。

LGBTQ+の方がオープンにしても安心できるようにすること、スタッフが変な気を遣うようなことはしないこと、ジェンダー(※)の話はタブーではないということを知って欲しくて話しています。

(※) ジェンダー：本インタビューにおいては性的指向（恋愛感情がどの性別に向くか、向かないか）を指す言葉としても使用されています

－取り組み後にEIZOスタッフの変化はありましたか？

ジェンダーに関してオープンにしていることもあり、私のお客さまにはジェンダー関係で来店してくれる方々が多くいらっしゃいます。
私はお客さまとオープンに会話をしていることもあり、聞かれなくてもスタッフが汲み取ってくれる環境ができていると感じています。

ですが、お客さまにはオープンにしたくない方もいらっしゃいます。
そのようなお客さまでも雰囲気などから、ジェンダーについて悩みを抱えているかも知れないと感じてくれるようになったり、空気を読んでくれるようになったのは、以前までは見られませんでした。

重要なのは、ジェンダーの悩みを抱えている方は思った以上に身近にいらっしゃるということを知ることです。その認知があれば、見た目や名前だけでジェンダーを決めつけることがなくなります。

例えば、お客さまに彼氏や彼女がいるか分からない状況で、そのような話を美容師側から持ち掛けることなどはしてはいけません。もしお客さまの方から恋人がいるという話が出た場合でも、性別を決めつける彼女や彼氏というワードを使用せずに、“パートナー”という言葉を使用した方が安心してもらうことができます。

 他にもLGBTQ+の方が身近にいることを知っていると、言葉選びだけではなく、ヘアスタイルの提案方法も変わってきます。
まず、性別が女性だから可愛い髪型にしたいと決めつけるのではなく、その人がどのような髪型にしたいと思っているか、なぜそうなりたいのかを知る必要があります。
美容師はお聞きしたお客さまの要望を否定するのではなく、受け入れてその人がより魅力的になる提案をすることが大切だと思います。

－LGBTQ+フレンドリーになりたい美容院が取り組むべきことを教えてください

一番良いのは、多くの当事者の話を聞くことです。
ジェンダーは人それぞれ考え方が違っており、私も私自身のことしか分かりません。

以前、ジェンダーに関するイベントに参加した際に、たくさんの当事者の方にお話を聞いて知ることがたくさんありました。例えばレズビアンの方は、職場で恋愛の話になると「彼氏がいる」と言ったり、パートナーと旅行に行くのに「友人と行く」と言ってしまうそうです。
そのような方々がどのような悩みを抱えているのかを知ることから始めるのが重要だと思います

また、先ほどからお伝えしている通り、LGBTQ+フレンドリーな美容院になるには、性別という固定概念をなくした方がよいと思います。
お客さまにお渡しする雑誌を例に挙げると、外見や性別が女性だから女性ファッション誌を渡すなどの行為も、当事者にとっては悲しい気持ちにさせてしまう可能性があります。
ただ、そのお客さまのことを知らない状態で対策をとるのは難しいかも知れません。
そのためEIZO GINZAでは、対策として雑誌を電子書籍化しています。

－今後美容業界がLGBTQ+の方々にとってどのような場所になって欲しいと思いますか？

美容業界は他の業種と比べて、ファッションや髪型などを含めて表現が自由だと思っています。
しかし、ジェンダーの知識や認知に関しては他の業種と比べて大差はなく、現時点では寛容とも言い切れません。

これからの美容院をはじめとした美容業界が、ファッションや髪型と同じように、ジェンダーに関しても自由な考えになっていくと良いと考えています。
そして、LGBTQ+フレンドリーを美容業界がけん引していく存在になってくれることを祈っています。

自身もトランスジェンダーであることを公表している、EIZO GINZAのデザイナー 宮島瑠さんにLGBTQ+フレンドリーな美容院になるために必要なことなどをお聞きしました。
LGBTQ+フレンドリーになるには、まず身近に悩みを抱えた方がいらっしゃるということ、そしてその方々の話を聞くことが大切だということが分かりました。

女性だから、男性だからという固定概念にとらわれず、よりお客さま自身に向き合うことが、これからの美容院に求められる要素になるかも知れません。

関連記事：【LGBTQフレンドリー】あなたらしさを彩る！長さ別「ジェンダーレス」ヘアスタイル