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美容院がみんなに居心地の良い空間になるために。LGBTQ+フレンドリーサロンへの取り組みをインタビュー

美容院がみんなに居心地の良い空間になるために。LGBTQ+フレンドリーサロンへの取り組みをインタビュー
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LGBTQ+とは、セクシュアルマイノリティの総称のひとつで、レズビアン 、ゲイ 、バイセクシュアル、トランスジェンダー、クイア・クエスチョニングの頭文字とその他のアイデンティティーを表す+が組み合わさった言葉です。 実はLGBTQ+当事者の中に美容院へ行って、美容師の言葉などで安心できるサロン体験をできなかったという方もいます。

このような悲しい思いをさせないために、楽天ビューティではYouTubeに美容院向け教育動画 『LGBTQ+フレンドリーサロン虎の巻』を配信し、LGBTQ+フレンドリーサロンを拡大させる取り組みを行なっています。 今回は、楽天ビューティのこの取り組みに賛同してくださった2つの美容院にインタビューをしました。

CONTENTS目次

サロン① elm 仙台

宮城県でLGBTQ+をはじめとした、多様な性に関する活動をしている任意団体に協賛しているelm 仙台に、楽天ビューティの『みんなのサロンプロジェクト』にご賛同いただきました。

LGBTQ+について理解してもらいたい

LGBTQ+フレンドリーサロン elm仙台インタビュー

及川さん「プロジェクトのお話を伺って最初に思ったことは、もっと皆にLGBTQ+について理解してもらいたいということでした。以前、ゲイの方と一緒に働いたこともあり、フラットに接することを心がけるようになりました。しかし、美容師の中でもまれに「この人は理解していないのでは?」と感じることもありました。我々が行動することで、多様性への理解が進むならと思い賛同しました。」

 代表の及川さんは、当事者の方と一緒にお仕事もされていたこともあり、フラットな接し方を意識していたとのことです。

では、スタッフの方々はどうなのでしょうか。

 及川さん「美容師の仕事はお客様の希望を聞いてキレイ、またはかっこよくするのが仕事です。しかし、仕事をする上でコミュニケーションも取らなくてはいけません。そのときに自分たちが知らないだけで、当事者のお客様はいるかも知れない。そのようなお客様に対して、知らずして失礼を働いていないかなど、スタッフ一同考えるきっかけになったと感じています」

コミュニケーションを改善して安心して過ごしてもらう

楽天ビューティの『みんなのサロンプロジェクト』に賛同したelm 仙台ですが、どのような取り組みが可能なのでしょうか。

及川さん「楽天ビューティがYouTubeにアップしている『LGBTQ+フレンドリーサロン虎の巻』を見ました。そこですぐにでも変えられると思ったのは、お客様とのコミュニケーションです。たとえば見た目で彼氏や彼女と決めつけるのではなく、パートナーというなど言葉のチョイスはすぐに取り組んでいきたいです」

外見や声色をもとに性別を判断してしまうと、当事者が安心して施術を受けられない可能性があります。及川さんが言うように、コミュニケーションで使う言葉を気を付けるだけでも、安心される当事者の方は多くなるでしょう。

及川さん「お客様の外見でヘアカタログを出すのではなく、elm 仙台ではタブレットを完備してお客様に好きな雑誌を読んでもらうようにしています。タブレットにしたきっかけは、LGBTQ+の方に対しての取り組みというだけではありませんでした。しかし、結果的にLGBTQ+フレンドリーな対応ができたので、良かったと思っています」

性のあり方に関する固定概念にとらわれず当事者の方々にとって安心できる場所になりたい

LGBTQ+フレンドリーサロン elm仙台インタビュー

楽天ビューティがお声がけする前から、LGBTQ+への理解を広める任意団体の『みやぎにじいろパレード』へ協賛しているelm 仙台。

元からジェンダーの多様性に対する理解があったelm 仙台ですが、今後LGBTQ+に方々に対してどのよう美容室になっていきたいのでしょうか。

及川さん「LGBTQ+の方々に安心して来店してもらえる美容室になりたいと思います。私が『みやぎにじいろパレード』に協賛しているのは、LGBTQ+を理解してもらうために活動している人々を応援したいからです。これからは、協賛だけではなくイベントポスターを貼るなど、活動の支援を表明していきたいです。そして、elm 仙台にも安心してお越しいただけるようになりたいと考えています」

また、及川さんに美容業界全体が将来どのように変化したら良いかをお聞きしました。

及川さん「10人に1人はLGBTQ+当事者がいると『LGBTQ+フレンドリーサロン虎の巻』で知りました。我々の顧客の1/10が当事者の方だと思ったら、考えていたよりも多いというのが正直な感想です。そうなると、今美容業界で流行しているメンズ専門サロンのように、ジェンダーで顧客を区別してしまう美容室の名称は考え直した方が良いのではないかと思いました。今後、性別で縛るのではなく、当事者をはじめとしたさまざまな方々が安心して来店できる美容室が増えてくると、美容業界全体が良くなるのではと考えています」

取材した美容師

LGBTQ+フレンドリーサロン elm仙台インタビュー

・名前:及川 正人 (オイカワ マサト) さん
・役職:代表

SALON INFOサロン情報

elm 仙台 錦町 (エルム センダイ ニシキチョウ)

住所:宮城県仙台市青葉区錦町1-3-5 錦町ビル3F

サロン② bellus

プロの美容師として、お客様とのコミュニケーションまでこだわりを持つbellusが、楽天ビューティの『みんなのサロンプロジェクト』に賛同した理由を伺いました。

お客様が嫌な気持ちになるコミュニケーションはNG

LGBTQ+フレンドリーサロン bellusインタビュー

「美容業界でLGBTQ+への理解を促進する取り組みをしている企業は少ない」
そう語った門脇さんは、提案を受ける前からLGBTQ+の当事者について知り、理解する機会があったのだという。

門脇さん「元々勤めていた美容院にLGBTQ+の当事者がいました。その方は外見が男性なのですが、自分のことを『おばちゃん』と呼ぶのです。その方と出会った当初の私は『こういう方もいるんだな』とすんなりと受け入れていましたが、周りの一部の同僚からは腫れ物扱いされていました」

それから時を経て、『みんなのサロンプロジェクト』が作っているチェックリストや、YouTubeにアップしている『LGBTQ+フレンドリーサロン虎の巻』を見た門脇さんは、「美容院に来て傷ついている当事者の方がたくさんいるということに驚きました」と語った。

門脇さん「美容師は接客業です。それなのに、お客様の気分を害してしまうコミュニケーションを取ってしまっていることに驚きました。例えば、お客様のプライベートを聞いてしまうなどです。このようなコミュニケーションの取り方は、当事者ではなく多くのお客様も嫌がります。特に新規のお客様は、信頼関係もできていないのに突然プライベートなことを聞かれたら嫌な気持ちになりますよね」

そのためbellusでは、プライベートの話は自分たちからは一切せずに、髪の毛に関する話しかしない。これは門脇さん自身がプライベートの話を聞かれるのが嫌だという原体験と、髪の毛のプロである美容師だからなのだという。

人の考え方を変えるのは難しいと感じた

『みんなのサロンプロジェクト』に参画するにあたり、『LGBTQ+フレンドリーサロン虎の巻』をスタッフにも見てもらい「世代によって受け取り方が全然違う」と門脇さんは言う。

 門脇さん「20代の若手スタッフは、LGBTQ+のことをすんなりと受け入れていました。しかし、30後半から40代のスタッフは、理解はできるけど今すぐに受け入れることは難しいと言ったのです。それを聞いて正直残念だな、という気持ちになりました」
年代によって違いが出たことに驚いた門脇さんだが、人の考え方を変えるのも難しいと言う。そして、同様な人がたくさんいるのだな、と感じたきっかけを聞いた。

 門脇さん「先日『東京レインボープライド』に参加しました。このイベントは、『“性”と“生”の多様性』をテーマとしたイベントで、当事者の方々がパレードで渋谷の街を歩いたり、ステージでショーをします。私も参加したのですが、参加者のみなさんとても楽しそうなんです。しかし、そのパレードを周りから見ている人たちの中には、稀に戸惑った視線を感じました。周りからパレードを見ている人たちもたくさんいましたが、中にはLGBTQ+への理解がない人など様々だと思うので、全員の考え方を変えるのは難しいと感じます。」

時代に合わせて美容業界も変わる必要がある

考え方が違う人たちがたくさんいるのは仕方ない。しかし、美容師として美容院に来る方全員が嫌な思いをしないためにも、接客レベルの向上が必須だと門脇さんは考える。

門脇さん「先ほども言いましたが、美容院に来て嫌な気持ちになる人が一人でも減らないといけないと思います。それを実現するためにも、美容業界は全体的に接客レベルを上げなくてはいけないと思います」

美容師は技術やデザインを学んでいる人は多いが、接客について学んでいる人は少ないと言う。それでも門脇さんは美容業界は変われると感じているようです。

門脇さん「以前の美容業界は、雇用関係というよりも師匠と弟子という関係みたいでした。そのためパワハラなどもありましたが、徐々にその体制も変わってきています。これは時代が旧態依然とした美容業界を許さなかったからですが、ジェンダーやLGBTQ+に対する考え方もそのようになっていくと思っています。時代に合わせて美容業界は変わっていけますし、その結果としてLGBTQ+当事者だけではなく、多くの方々が嫌な思いをしないようになっていけると良いなと思います」

取材をした美容師

LGBTQ+フレンドリーサロン bellusインタビュー

・名前:門脇 孝広(カドワキ タカヒロ)さん
・役職:代表/アートディレクター

SALON INFOサロン情報

bellus (ベルス)

住所:宮城県仙台市青葉区一番町3丁目4-26 よろづ園ビル4階

楽天ビューティ みんなのサロンプロジェクト

楽天ビューティが美容サロンのLGBTQ+フレンドリーな接客を推進することを目的とした教育動画「LGBTQ+フレンドリーサロン 虎の巻」を公開しました。
この動画では多様な性のあり方に関する基礎知識や接客方法、サロンづくりなどについて解説しています。

  LGBTQ+フレンドリーサロン 虎の巻』
https://beauty.rakuten.co.jp/cnt/topics/campaign/inclusive-salon/

LGBTQ+フレンドリーサロン虎の巻
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